今気付いたんですが、このブログの前回の記事が昨年のASHGだったんですね。
それもEdicogeonme社、DRAGENの話。
偶然ですが今回の記事もASHG、それもDRAGENの話!
ついに、ギネスブックに載ったぜ!
このニュースはすごいと思いません?
真ん中にいるジャケット来たかたがギネスのおっさんです。
どういうことでギネスに載ったのか、というと、1000人分のヒトゲノムを最高スピードで解析するシステム、ということらしいです。
私もちゃっかり記念撮影
Edicoの夜のパーティにはたくさんひとが集まり、盛り上がりました。
昨年はバンクーバーで、今年はオーランド。
バンドの生演奏やもちろんタダ飯&タダビール。もちろんプレゼンもこんな感じに、真面目にやってました。
さて、Edicogenome社のホームページに行ったかたは気づいたかも知れませんが、Dragenがクラウドサービスを始めました。
具体的にはDNA Nexusのパイプラインを使っていて、DNA NexusはAWSを使っている、というわけですが、現在はアメリカだけのサービスです。
残念ながら、AWSとの大人の事情で、日本ではクラウドサービスの予定は未定なんです。
というわけで日本ではハードウェアがありますのでどうぞ宜しくお願いします!
このギネスの話を拡散したら、問い合わせがあちこちから来ました。
日本のクリニカルシークエンスにも、Dragenサーバが使われる日も近い、かな。
第2世代高速シーケンサー(Illumina, SOLiD, 454)とそのアプリケーションについて。 できるだけ最新に近いことと、トレンド、面白いと思った論文やアプリケーションを書いています。シーケンサーに興味のあるひとは是非覗いていってください。 コメントも大歓迎です。 一分子シーケンサー PacBioについては、姉妹ブログ「パックマンの挑戦 http://pacbiobrothers.blogspot.com/ 」 を、10X Genomicsについては「くろみうんの冒険」を覗いてみてください!
2017年11月4日土曜日
2015年9月5日土曜日
久しぶりにこちらも更新!
ご無沙汰しています!
最後に「ショートリードの憂鬱」を更新したのが2012年なので、もうすぐ4年になりますか。
4年前まであんなにショートカットの彼女に想いを寄せていたのに、急にロングヘアの彼女に浮気して、気がついたらやっぱり昔のショート彼女も、手がかかったけど良かったなあ、って戻ってきた感じでしょうか。
あー、例え悪いですね。女子からは引かれそう。
冗談はそのくらいにして、もちろん最近までロングリードに夢中になっていたのですが、やっぱり気になっていたというか、最近はクリニカルシークエンスなどが熱いですよね。
これはやっぱり現在はショートリードの独壇場。
もちろんロングも頑張っていますが、もう少し時間がかかるかな。
で、「憂鬱」だった4年前のショートリード解析も、今やどんどん進化して、「快適」とまでは言わないまでも、「たまに若干憂鬱」くらいにはなってきたんでは無いでしょうか?
いやいや、まだすごい大変だよ!
という声が聞こえてきそうですが、その大変さというのも、4年前とはレベルが違うでしょう。
NGSが一般のライフサイエンスの現場に浸透していくにつれ、必ずしもインフォマティシャンではない研究者でも扱える機器になりました。
どんな分野でもそうですが、最先端の研究・誰もやったことの無い研究、パイオニア的な研究者は自分でツールを作らないといけません。
技術が汎用的になって、ある程度原理を理解した研究者が自分の研究にその技術を応用しようとするときは、優れた汎用ソフトウェアが必要になります。
汎用ソフトウェアでは自分のやりたいことができない、あるいは自分で解析する時間が無い、というかたは、受託解析を外注するでしょう。
私もかつて前職で、ちょうどNGSが日本に広まりつつある時期、汎用ソフトウェアを売ってサポートしていたり、受託解析サービスをしていました。
お客さんが100人いれば、100通りの質問、要望をします。
大変でしたが、本当に革命的な技術が広がるときの、ダイナミックな動きを肌で実感することができました。
今も、よりメーカーサイドに身を置きましたが、刺激的なのは変わりません。
むしろ、ロングリードの質問は、ショート側にいたときからは想像がつかないもの。
海外に出張すると、日本にはまだ入ってきていないビジネスや技術と触れることも多いです。
カリフォルニアという場所柄、競合企業にいたひとが会社を離れて新しいビジネスを始める、なんて普通。
ひとの動きは日本とは比べ物にならないですからねえ。
さて、しばらくロングヘアの彼女に浮気していたわけですが、この業界にいると、ショートヘア彼女の周りが騒がしくなっているのがよーくわかるのです。
ショートヘア彼女はモテるんですよ。
いろんな奴が周りにいる。
私もそんな状態を放っておくわけがない!
と、いうわけで、ショートリードについてのネタ、ちょっと紹介します。
最後に「ショートリードの憂鬱」を更新したのが2012年なので、もうすぐ4年になりますか。
4年前まであんなにショートカットの彼女に想いを寄せていたのに、急にロングヘアの彼女に浮気して、気がついたらやっぱり昔のショート彼女も、手がかかったけど良かったなあ、って戻ってきた感じでしょうか。
あー、例え悪いですね。女子からは引かれそう。
冗談はそのくらいにして、もちろん最近までロングリードに夢中になっていたのですが、やっぱり気になっていたというか、最近はクリニカルシークエンスなどが熱いですよね。
これはやっぱり現在はショートリードの独壇場。
もちろんロングも頑張っていますが、もう少し時間がかかるかな。
で、「憂鬱」だった4年前のショートリード解析も、今やどんどん進化して、「快適」とまでは言わないまでも、「たまに若干憂鬱」くらいにはなってきたんでは無いでしょうか?
いやいや、まだすごい大変だよ!
という声が聞こえてきそうですが、その大変さというのも、4年前とはレベルが違うでしょう。
NGSが一般のライフサイエンスの現場に浸透していくにつれ、必ずしもインフォマティシャンではない研究者でも扱える機器になりました。
どんな分野でもそうですが、最先端の研究・誰もやったことの無い研究、パイオニア的な研究者は自分でツールを作らないといけません。
技術が汎用的になって、ある程度原理を理解した研究者が自分の研究にその技術を応用しようとするときは、優れた汎用ソフトウェアが必要になります。
汎用ソフトウェアでは自分のやりたいことができない、あるいは自分で解析する時間が無い、というかたは、受託解析を外注するでしょう。
私もかつて前職で、ちょうどNGSが日本に広まりつつある時期、汎用ソフトウェアを売ってサポートしていたり、受託解析サービスをしていました。
お客さんが100人いれば、100通りの質問、要望をします。
大変でしたが、本当に革命的な技術が広がるときの、ダイナミックな動きを肌で実感することができました。
今も、よりメーカーサイドに身を置きましたが、刺激的なのは変わりません。
むしろ、ロングリードの質問は、ショート側にいたときからは想像がつかないもの。
海外に出張すると、日本にはまだ入ってきていないビジネスや技術と触れることも多いです。
カリフォルニアという場所柄、競合企業にいたひとが会社を離れて新しいビジネスを始める、なんて普通。
ひとの動きは日本とは比べ物にならないですからねえ。
さて、しばらくロングヘアの彼女に浮気していたわけですが、この業界にいると、ショートヘア彼女の周りが騒がしくなっているのがよーくわかるのです。
ショートヘア彼女はモテるんですよ。
いろんな奴が周りにいる。
私もそんな状態を放っておくわけがない!
と、いうわけで、ショートリードについてのネタ、ちょっと紹介します。
- NGS解析を超高速にするサーバ「DRAGEN」について
- クラウドでの解析「DNAnexus」「iOMICs」について
- SalesForceを使ったLIMS「Third Wave Analytics」について
- そのほか、クリニカルシークエンス について
お楽しみに!
2011年11月21日月曜日
メチレーションをダイレクトに検出するシーケンサー
シーケンサーは塩基配列を読むもの
というのはSanger型から始まってSolexa型、454型、SOLiD型、Ion Torrent型等、今までのシーケンサーの常識です。
でも、配列だけではなく、メチレーションの有無も同時に読んでくれたら・・・
これがPacBioではできる(らしい)のです。
Flusberg et al. Direct detection of DNA methylation during single-molecule, real-time sequencing.
Nat Methods. 2010 Jun;7(6):461-5.
昨年のthe Advances in Genome Biology and Technology (AGBT)のポスター(実際には行っていないんですけど)から注目していたのですが、PacBioのSingle Molecule Real Time (SMRT)シーケンスを使えば、塩基の修飾も配列と同時に検出することができるようなのです。
SMRTテクノロジーについては以前、
PacBio データの特徴 1 と 2 に書きました。
SMRTからの塩基配列データは、パルス (4種類の異なる光)として出力されます。
(AGBTポスターより)
パルスから得られる情報には、塩基そのものの他にも、一塩基が読みとられる時のパルスの幅 Pulse width (PW) と、次の塩基が読みとられるまでのパルスの間隔 Interpulse duration (IPD) もあります。
このIPDが、塩基が修飾されていると変化するのです。
具体的には、Aがメチル化されている N6-methyladenosine (mA) の場合、Tと結合する部分のNにメチル化が起こっているため、Tと結合するのが遅くなるそうです。
そうすると、メチル化されたAのパルスの間隔 IPDが、メチル化されていないAと比べて大きくなります。 (下図の上がメチル化A、下がコントロールA。 メチル化Aの後、次のTまでの間隔が、コントロールのAからTまでの間隔と比べて大きいのがわかります)
この原理を用いて、メチル化されているアデノシン(に限らずシトシンも)を見つけよう! ということです。
というのはSanger型から始まってSolexa型、454型、SOLiD型、Ion Torrent型等、今までのシーケンサーの常識です。
でも、配列だけではなく、メチレーションの有無も同時に読んでくれたら・・・
これがPacBioではできる(らしい)のです。
Flusberg et al. Direct detection of DNA methylation during single-molecule, real-time sequencing.
Nat Methods. 2010 Jun;7(6):461-5.
昨年のthe Advances in Genome Biology and Technology (AGBT)のポスター(実際には行っていないんですけど)から注目していたのですが、PacBioのSingle Molecule Real Time (SMRT)シーケンスを使えば、塩基の修飾も配列と同時に検出することができるようなのです。
SMRTテクノロジーについては以前、
PacBio データの特徴 1 と 2 に書きました。
SMRTからの塩基配列データは、パルス (4種類の異なる光)として出力されます。
(AGBTポスターより)
パルスから得られる情報には、塩基そのものの他にも、一塩基が読みとられる時のパルスの幅 Pulse width (PW) と、次の塩基が読みとられるまでのパルスの間隔 Interpulse duration (IPD) もあります。
このIPDが、塩基が修飾されていると変化するのです。
具体的には、Aがメチル化されている N6-methyladenosine (mA) の場合、Tと結合する部分のNにメチル化が起こっているため、Tと結合するのが遅くなるそうです。
そうすると、メチル化されたAのパルスの間隔 IPDが、メチル化されていないAと比べて大きくなります。 (下図の上がメチル化A、下がコントロールA。 メチル化Aの後、次のTまでの間隔が、コントロールのAからTまでの間隔と比べて大きいのがわかります)
この原理を用いて、メチル化されているアデノシン(に限らずシトシンも)を見つけよう! ということです。
でもこの検出方法は、うまくいくのでしょうか?
論文ではまず、人工的に作ったメチレーション配列とコントロール配列199塩基を、両方とも何百回も同じところを読んで、平均のメチル配列のIPDと、非メチル配列のIPDを比較しています。
これを見ると、必ずしもメチル化された箇所のIPDが大きく変化するわけではなく、その周辺の塩基のIPDがより影響を受けることがわかりました。
縦軸が塩基ごとのIPDの比(メチルサンプル/ 非メチルサンプル)の平均で、横軸が塩基のポジション、▲印がメチル化の場所です。
上からN6-methyladenosine、5-methylcytosine、5-hydroxymethylcytosine の順で、それぞれN=346、504、393 だそうです。
どうでしょう? メチル化された塩基の場所のIPDが変化しているものもありますが、その前後で大きく変化を示しているパターンのものもあるのがわかります。
N6-methyladenosineでは、メチル化塩基とその5番めの塩基
5-methylcytosineでは、2番、3番、6番めの塩基
5-hydroxymethylcytosineでは、2番、6番めの塩基
のIPDが大きく変化しています。 (縦軸の値が異なるのに注意)
このようなパターンがあることは、メチル化の種類も見分けることができる、ということです。
既存のバイサルファイト法のような形では不可能でしょう。
もちろん何百回も読まなくても、数回、しかし繰り返し同じ所を読むことで、メチル塩基と非メチル塩基を区別できるそうです。
SMRTのCircular topology型DNAテンプレートなら可能なのです。
赤線がメチルAを含むテンプレート、青線がコントロールです。
5回読めばはっきりメチルテンプレートとコントロールの、メチルAのパルスが区別できることを示しています。
人工配列はもういい、という方のために、彼らはDNA adenosine methyltransferase positive (dam+)の大腸菌から取り出したC. elegans fosmid 配列をも読んでいます。
比較対象は、Whole Genome Amplification(WGA)したコントロール配列です。
これは3.7kbの配列にフォーカスして解析しています。
dam+ のIPDをコントロール(WGA)のIPDで割った、IPD Ratio が縦軸です。
Aメチル化はGATC配列に起こりやすいので、non-GATCの塩基(○)とGATC塩基(■)を分けています。
N=106で、平均IPDをプロットしています。
全体的に、non-GATC塩基はIPD ratio が2以下なのに対し、GATC塩基(メチル化塩基)は、IPD Ratioが3から7の間にいるので、区別できる! ということは言えるかな?
ちょっと2500塩基付近の下のGATCが微妙ですが。
実際、これからの技術ですね。
IPDの変化のパターンは、メチル化の種類にだけ依存しているのか、周りの塩基によっても違うのか、生物種によっても違うのか、光学的な条件によっても違ってくるのか。
でも、希望は持てます。 一度パターンがわかってしまえば、シーケンスするだけでメチル化の種類もわかってしまうのですから。
2011年9月23日金曜日
PacBio データの特徴 1
PacBioのシーケンサーから出てくるデータはどんなものなんだろう?
その前に、「4分でわかるPacBio-SMRTテクノロジー」をYouTubeで見つけたので、SMRTって何だ?ってひとはまずはここから。
テクノロジーについてもっと詳しく知りたい方は、PacBioのホームページか、この論文がお勧めです。
Schadt et. al., "A window into third-generation sequencing". Hum. Mol. Genet. (2010) 19 (R2): R227-R240
SMRTの特徴は、DNAを1分子単位で、PCRによる増幅無しで、結構長く読めるということです。
Single Molecule Real Time の略です。
ガラススライド上に無数の小さなポケット(ZMWs (zero-mode waveguides) )があり、その穴の底には、DNAポリメラーゼが固定されています。 この穴は非常に小さく、波長600nmまでの可視光線は通り抜けできない構造になっています。
シーケンスは、プライマーがアニールされたDNA鋳型がポリメラーゼに取り込まれ、反応準備が完了します。
4種類の異なる蛍光の付いた塩基が、ZMWsの外から入り込み、DNA鋳型に取り込まれると蛍光が切り離されてZMWsの穴の底で光ります。その光は底から30ナノメートルまでしか届きません。
スキャナーはその光を検出します。 底にはポリメラーゼが固定されているので、その近くで観測される光は、取り込まれた塩基による光しかない、というわけです。
でもランダムにZMWsの外からも蛍光付きの塩基が入り込むので、偶然ポリメラーゼ近辺に来て、蛍光が検出されてしまうことはないのでしょうか。
IlluminaやSOLiDのような、蛍光検出一回につき余分な蛍光を洗い流す、Wash-and-Detectはしていません。
あくまでもReal-Timeにポリメラーゼが自然に塩基がとりこまれるままで読んでいるのです。
トリックは、ポリメラーゼに塩基がとりこまれる速度はミリ秒単位、それ以外のZMWs内の塩基の出入りはマイクロ秒単位、という時間の差にあります。
ミリ秒単位で光らないと、DNA鎖の塩基として認識しないのです。
先日、Expression Analysis(http://www.expressionanalysis.com/)というアメリカの会社がPacBioのデータ解析Webセミナーをやっていたので、深夜2時だったけど参加してみました。
PacBioのデータって、どんなんだろう? すごく興味があったせいか、3時までずっと起きていました。 次の日会社・・・
さて、SMRTテクノロジーで検出される塩基は、ポリメラーゼがReal Timeに合成する速度と関係が深くなります。
ということは、塩基の検出される時間幅は、一定では無いということです。
Webセミナーの中でもそれを言っていました。
同じAGCCATと読んでいても、ポリメラーゼは機械ではありませんので、1塩基読むのに時間のばらつきが生じます。 これが画像からのシグナル変換、いわゆる一時解析を複雑にしている原因なのです。
とは言っても、PacBioの機械・ソフトは、これを何とか解決しているのでしょう。 でなければ商品化していませんよね。
次は、PacBioのデータを解釈するにあたって絶対必要な、リード、サブリード、ダンベル型のSMRTBellテンプレート、について説明します。
2011年9月10日土曜日
NGSでmicroRNA 2
前回はNGSでmicroRNAを読むときの一般的なワークフローで、マッピングまで書きました。
既知のmiRNA配列にマップしたときは、その発現量がマップされたリードの本数で表現できる、ということは直感的にわかるでしょう。
以前、RNA-Seqの発現量推定のところでも書きましたが、リードの数はサンプルごとのノーマライズ(正規化)が必要です。
(その既知miRNAにマップされたリードの本数)/ (そのサンプルランで取れた全リードのうちmiRNAにマップされたリードの合計数)
出力されたリードの数、特にマッパブル(Mappabl)なリードの総数は、サンプルによって異なります。 ですから、各miRNAにマップされたリードの本数を全体で割ってあげて、異なるサンプル間で比較可能にするのです。
分母を、そのサンプルのリード本数全体 として計算している方もおられますが、私は、マップされたリード本数全体 とした方が精度が上がると考えています。
だってマップされないリードまでノーマライズの分母に含めるのは不自然でしょう。
これだけでは値が非常に小さくなるので、100万倍して、RPM(Read Per Million)という表現にするのが良いかも知れません。
さて、そうして正規化された値は、当然ながらmiRNAの発現量そのものではありません。
あくまで比です。
ということで、この値は、ほかのサンプルの正規化miRNA発現値と比較して、何倍発現量が多い、少ない、というような解析に持っていきます。
マイクロアレイと同じですね。
Nが3以上あれば、正規化後の値を対数変換してから、通常の統計手法(T‐Testなど)で比較すると良いでしょう。
DESeqという発現量比較のツールも使えるかと思います。
いろいろ調べてみると結構miRNA関連論文で、このDESeqが使われています。
元々は発現変動遺伝子を解析するツールです。
遺伝子は全部で数万あり、その中でほとんどは変動していない、という仮定の下、変動有意遺伝子を見つけるわけです。
microRNAは全部でもたかだか数百、これで遺伝子発現と同じモデル(負の二項分布)式を使っても良いのか、という疑問は残りますが、ここではそれを置いておくとして。
Nが1しか無い場合、割り算して比較するしかありませんね。
有意な発現変動を示したmiRNAが見つかったら、そのターゲット遺伝子を探してみましょうか。
データベースとしてはまず、miRBase (http://www.mirbase.org)がいいでしょう。
ここからはTargetScan や Pictar といった、ターゲット予測プログラムのサイトへもリンクできます。
ターゲット遺伝子を見つけたら、その遺伝子のGO(Gene Ontology)を検索して、どんな機能の遺伝子がターゲットになっていたのか、を調べることも良く行われます。
さて、これら以外に、NGSならではの解析とは何でしょう?
そう、既知ではなく、未知のmiRNAを見つけることです。
それには先ず、マッピングのデータから、既知miRNA以外の場所にマップしたリードが作っている、ある程度の長さのクラスターを見つけてこなければいけません。
ある程度の長さって、どれくらいだ?
クラスター配列は、2次構造を取り得る、いわゆるpalindromicの配列でなくてはなりません。
1次元で言うと、(mature miRNA配列)+(ループ構造)+(mature* miRNA配列)のパターンである必要があります。
そのような配列を取ってきたら、エネルギーが最小になるようなときにちゃんとヘアピンのようにフォールドするかどうか、を確かめます。
さらに、Droshaなどのタンパク質に切断されるサイトがあるか、調べます。
これを全部プログラムを作って行うのは大変ですが、幸い、アカデミックの方ならフリーで使えるツールがあります。 miRDeep というものです。
このドラえもんの手、みたいなのがmature miRNA-Loop-star の2次構造で、薄い線がマップされているリードです。
matureの方により多くのリードがマップされているのは、より本物らしいmicroRNAだったことを裏付けます。
残念ながら、企業はフリーじゃないんですよね。 いくらか払うのかな。
2次構造だけの予測なら、できるソフトもありますが、miRDeep ほど特化しているものは少ないでしょう。 チャンスがあれば使ってみたいです。
microRNAをNGSで解析するというテーマで、よくまとめられているレビューがあるので紹介します。
Motameny et al. (2010) Next Generation Sequencing of miRNAs - Strategies, Resources and Methods. Genes. 1, 70.
こちらはmiRanalyzerというツールのワークフローです。フローは参考にしています。
Stark et al. (2010) Characterization of the Melanoma miRNAome by Deep Sequencing. PLoS One. 5, e9685.
発現量比較から新規miRNA予測、ターゲットのGO解析まで行った例です。 こちらも良い。
Dhahbi et al. (2011) Deep Sequencing Reveals Novel MicroRNAs and Regulation of MicroRNA Expression during Cell Senescence. PLoSOne. 6, e20509.
既知のmiRNA配列にマップしたときは、その発現量がマップされたリードの本数で表現できる、ということは直感的にわかるでしょう。
以前、RNA-Seqの発現量推定のところでも書きましたが、リードの数はサンプルごとのノーマライズ(正規化)が必要です。
(その既知miRNAにマップされたリードの本数)/ (そのサンプルランで取れた全リードのうちmiRNAにマップされたリードの合計数)
出力されたリードの数、特にマッパブル(Mappabl)なリードの総数は、サンプルによって異なります。 ですから、各miRNAにマップされたリードの本数を全体で割ってあげて、異なるサンプル間で比較可能にするのです。
分母を、そのサンプルのリード本数全体 として計算している方もおられますが、私は、マップされたリード本数全体 とした方が精度が上がると考えています。
だってマップされないリードまでノーマライズの分母に含めるのは不自然でしょう。
これだけでは値が非常に小さくなるので、100万倍して、RPM(Read Per Million)という表現にするのが良いかも知れません。
さて、そうして正規化された値は、当然ながらmiRNAの発現量そのものではありません。
あくまで比です。
ということで、この値は、ほかのサンプルの正規化miRNA発現値と比較して、何倍発現量が多い、少ない、というような解析に持っていきます。
マイクロアレイと同じですね。
Nが3以上あれば、正規化後の値を対数変換してから、通常の統計手法(T‐Testなど)で比較すると良いでしょう。
DESeqという発現量比較のツールも使えるかと思います。
いろいろ調べてみると結構miRNA関連論文で、このDESeqが使われています。
元々は発現変動遺伝子を解析するツールです。
遺伝子は全部で数万あり、その中でほとんどは変動していない、という仮定の下、変動有意遺伝子を見つけるわけです。
microRNAは全部でもたかだか数百、これで遺伝子発現と同じモデル(負の二項分布)式を使っても良いのか、という疑問は残りますが、ここではそれを置いておくとして。
Nが1しか無い場合、割り算して比較するしかありませんね。
有意な発現変動を示したmiRNAが見つかったら、そのターゲット遺伝子を探してみましょうか。
データベースとしてはまず、miRBase (http://www.mirbase.org)がいいでしょう。
ここからはTargetScan や Pictar といった、ターゲット予測プログラムのサイトへもリンクできます。
ターゲット遺伝子を見つけたら、その遺伝子のGO(Gene Ontology)を検索して、どんな機能の遺伝子がターゲットになっていたのか、を調べることも良く行われます。
さて、これら以外に、NGSならではの解析とは何でしょう?
そう、既知ではなく、未知のmiRNAを見つけることです。
それには先ず、マッピングのデータから、既知miRNA以外の場所にマップしたリードが作っている、ある程度の長さのクラスターを見つけてこなければいけません。
ある程度の長さって、どれくらいだ?
クラスター配列は、2次構造を取り得る、いわゆるpalindromicの配列でなくてはなりません。
1次元で言うと、(mature miRNA配列)+(ループ構造)+(mature* miRNA配列)のパターンである必要があります。
そのような配列を取ってきたら、エネルギーが最小になるようなときにちゃんとヘアピンのようにフォールドするかどうか、を確かめます。
さらに、Droshaなどのタンパク質に切断されるサイトがあるか、調べます。
これを全部プログラムを作って行うのは大変ですが、幸い、アカデミックの方ならフリーで使えるツールがあります。 miRDeep というものです。
このドラえもんの手、みたいなのがmature miRNA-Loop-star の2次構造で、薄い線がマップされているリードです。
matureの方により多くのリードがマップされているのは、より本物らしいmicroRNAだったことを裏付けます。
残念ながら、企業はフリーじゃないんですよね。 いくらか払うのかな。
2次構造だけの予測なら、できるソフトもありますが、miRDeep ほど特化しているものは少ないでしょう。 チャンスがあれば使ってみたいです。
microRNAをNGSで解析するというテーマで、よくまとめられているレビューがあるので紹介します。
Motameny et al. (2010) Next Generation Sequencing of miRNAs - Strategies, Resources and Methods. Genes. 1, 70.
こちらはmiRanalyzerというツールのワークフローです。フローは参考にしています。
Stark et al. (2010) Characterization of the Melanoma miRNAome by Deep Sequencing. PLoS One. 5, e9685.
発現量比較から新規miRNA予測、ターゲットのGO解析まで行った例です。 こちらも良い。
Dhahbi et al. (2011) Deep Sequencing Reveals Novel MicroRNAs and Regulation of MicroRNA Expression during Cell Senescence. PLoSOne. 6, e20509.
2011年7月27日水曜日
Exome 解析 non-synonymous SNVを見つけた後は・・・
Agilent社のSureSelect、Illumina社のTruSeq、NimbleGen社のSeqCap といえば、最近盛んに宣伝されているExomeの実験用キットです。
Exomeというのは、ゲノム全体ではなく、その中のExon、実際はExon+α の配列のみを選択してシーケンスする解析方法です。
原理はまず、Exonの部分配列DNA(プローブ)が用意されていて、断片化されたゲノムと、溶液中またはアレイ上でハイブリし、Exonプローブにハイブリされた(キャプチャーされた)ゲノム断片だけを抽出します。
そのExon部分配列のみをシーケンスするというわけです。
実際Exonの上を何塩基ごとにプローブが設定されているのか、という情報は非公開ですが、Exon全てをキャプチャーできるようには設計されているそうです。
このキットが普及されるにつれ、Exome、特にヒトExomeの研究が盛んになってきました。
それまでは1000GenomeやCancer Genome Instituteのようなゲノムセンターでの研究が一般的でしたが、昨年末ごろから一般の大学の研究室レベルでも、ヒトExome実験が行われるようになってきたようです。
実験プロトコールもいろいろ大変なのでしょうが、私はデータ解析屋なので、データが出てからの料理に興味があります。
世の中に、フリーツールはたくさんありますが、Exome解析は、それらをいくつも組み合わせていく、一見面倒くさいけれどもエレガントなワークフローです。
ちょっと検索すると、
NGS Surfer's Wiki のリシークエンス
BioStar
などにパイプライン(ワークフロー)が出てきます。
まとめると、
SNVというのはSNPとほぼ同意語で、変異か多型かの違いです。厳密には異なりますが、ここでは同じ意味とします。
さて、Exomeの論文はたくさんありますが、その中でいいな、と思ったものを3つ
そうするとNonsense置換またはフレームシフトを起こしていたMLL2遺伝子上の変異が、10人中7人に見つかったのです。
後はちゃんとCGHアレイとサンガーシーケンスで確認しています。
2のMSI/MSSは、直腸癌の種類(microsatellite instable / stable)が違う6人の患者サンプルで、MSIとMSSとで見つかった変異にどう違いがあるか、を見ています。
それぞれのサンプルで55,000程のSNVをリストした後、遺伝子の中にあるか、タンパクコード領域にあるか、dbSNP/1000Genomeに登録されていないか、カバレージは十分にあるか、Somaticな変異かどうか、とフィルタリングしていき、最終的に「タンパク質の機能を変化させる変異であるか」というところまで行き、数十程のSNVまで絞り込んでいます。
せっかくタンパク質の3D立体構造まで表示しているので、もう少しここから先が欲しかったです。
1、2、3、共通するのが de novo SNVを見つけた後にその変異が引き起こすであろうアミノ酸置換またはフレームシフトが、タンパク質の機能にどのような影響を及ぼすか、をスコア化していることです。
1はPhyloPとGrantham、2はPolyPhen(Polymorphism Phenotyping)とMutation Taster、3はGERP というプログラムを使ってスコアを計算しています。
このような潜在的なnon-synonymous SNVの機能予測プログラムは他にも、SIFT(Sorting Intolerant from Tolerant)、PolyPhen‐2などがあります。
私も全部を知っているわけではないので(知っていなくてはいけないのでしょうが)、これらのうちの
いくつか、多分PolyPhenとGranthamを、SeattleSeq というWebツールと一緒に紹介します。
Exomeというのは、ゲノム全体ではなく、その中のExon、実際はExon+α の配列のみを選択してシーケンスする解析方法です。
原理はまず、Exonの部分配列DNA(プローブ)が用意されていて、断片化されたゲノムと、溶液中またはアレイ上でハイブリし、Exonプローブにハイブリされた(キャプチャーされた)ゲノム断片だけを抽出します。
そのExon部分配列のみをシーケンスするというわけです。
実際Exonの上を何塩基ごとにプローブが設定されているのか、という情報は非公開ですが、Exon全てをキャプチャーできるようには設計されているそうです。
このキットが普及されるにつれ、Exome、特にヒトExomeの研究が盛んになってきました。
それまでは1000GenomeやCancer Genome Instituteのようなゲノムセンターでの研究が一般的でしたが、昨年末ごろから一般の大学の研究室レベルでも、ヒトExome実験が行われるようになってきたようです。
実験プロトコールもいろいろ大変なのでしょうが、私はデータ解析屋なので、データが出てからの料理に興味があります。
世の中に、フリーツールはたくさんありますが、Exome解析は、それらをいくつも組み合わせていく、一見面倒くさいけれどもエレガントなワークフローです。
ちょっと検索すると、
NGS Surfer's Wiki のリシークエンス
BioStar
などにパイプライン(ワークフロー)が出てきます。
まとめると、
- リードをゲノムにマッピングし (BWA)
- 冗長性のあるリード・Duplicateを除去し (SamtoolsやPicard)
- キャプチャーしたExon領域だけを取り出し (Bedtools)
- SamtoolsでSNVを抽出し
- SNVにアノテーションをつける non-synonymous SNV, missense, frame-shift など
SNVというのはSNPとほぼ同意語で、変異か多型かの違いです。厳密には異なりますが、ここでは同じ意味とします。
さて、Exomeの論文はたくさんありますが、その中でいいな、と思ったものを3つ
- Vissers et al. A de novo paradigm for mental retardation. Nature Genetics 42, 1109-12 (2010).
- Timmermann et al. Somatic mutation profiles of MSI and MSS colorectal cancer identified by whole exome next generation sequencing and bioinformatics analysis. PLoS One 22, e15661 (2010).
- Ng et al. Exome sequencing identifies MLL2 mutations as a cause of Kabuki syndrome. Nature Genetics 42, 790-3 (2010).
そうするとNonsense置換またはフレームシフトを起こしていたMLL2遺伝子上の変異が、10人中7人に見つかったのです。
後はちゃんとCGHアレイとサンガーシーケンスで確認しています。
2のMSI/MSSは、直腸癌の種類(microsatellite instable / stable)が違う6人の患者サンプルで、MSIとMSSとで見つかった変異にどう違いがあるか、を見ています。
それぞれのサンプルで55,000程のSNVをリストした後、遺伝子の中にあるか、タンパクコード領域にあるか、dbSNP/1000Genomeに登録されていないか、カバレージは十分にあるか、Somaticな変異かどうか、とフィルタリングしていき、最終的に「タンパク質の機能を変化させる変異であるか」というところまで行き、数十程のSNVまで絞り込んでいます。
せっかくタンパク質の3D立体構造まで表示しているので、もう少しここから先が欲しかったです。
1、2、3、共通するのが de novo SNVを見つけた後にその変異が引き起こすであろうアミノ酸置換またはフレームシフトが、タンパク質の機能にどのような影響を及ぼすか、をスコア化していることです。
1はPhyloPとGrantham、2はPolyPhen(Polymorphism Phenotyping)とMutation Taster、3はGERP というプログラムを使ってスコアを計算しています。
このような潜在的なnon-synonymous SNVの機能予測プログラムは他にも、SIFT(Sorting Intolerant from Tolerant)、PolyPhen‐2などがあります。
私も全部を知っているわけではないので(知っていなくてはいけないのでしょうが)、これらのうちの
いくつか、多分PolyPhenとGranthamを、SeattleSeq というWebツールと一緒に紹介します。
2011年6月15日水曜日
PacBioのシーケンサーがあるのはどこだ?
こんなサイトをご存じでしょうか?
今、世界中で、どこの研究所にどんなシーケンサーが導入されているのかが、ひと目でわかるマップです。http://pathogenomics.bham.ac.uk/hts/
必ずしも全てを網羅しているわけではないと思いますが、どこにどんなシーケンサーが導入されているのか、(実際は今現在導入されているもの以外にも、導入がほぼ決定しているものも、含まれているようですが)がわかって面白いですね。
アジアではやはり中国のBGIが圧倒的! 137台のHiSeqですか・・・ 見てみたいです。137台のHiSeqが並んでいるその光景を。 でもRoche454が1台というのは意外です。 もっとあるんじゃないかな?
では今話題の、というか私が一番気にしている、PacBio RSがあるのはどこでしょう?
上の、PacBioのチェックボックスにチェックを入れると表示されます。
右側に、研究所の名前のリストも出てきますよ・・・
さすが北米には12台も!
ちなみに導入先(予定も含む)研究所の名前を見てみると、
・・・ Japanの名前は、まだ無いですね。
今年中には、PacBio のマシン&データに触れる機会がありそうですので、今から楽しみです。
今、世界中で、どこの研究所にどんなシーケンサーが導入されているのかが、ひと目でわかるマップです。http://pathogenomics.bham.ac.uk/hts/
必ずしも全てを網羅しているわけではないと思いますが、どこにどんなシーケンサーが導入されているのか、(実際は今現在導入されているもの以外にも、導入がほぼ決定しているものも、含まれているようですが)がわかって面白いですね。
アジアではやはり中国のBGIが圧倒的! 137台のHiSeqですか・・・ 見てみたいです。137台のHiSeqが並んでいるその光景を。 でもRoche454が1台というのは意外です。 もっとあるんじゃないかな?
では今話題の、というか私が一番気にしている、PacBio RSがあるのはどこでしょう?
上の、PacBioのチェックボックスにチェックを入れると表示されます。
右側に、研究所の名前のリストも出てきますよ・・・
さすが北米には12台も!
ちなみに導入先(予定も含む)研究所の名前を見てみると、
- NCGR Genome Center: NM, United States
- DOE Joint Genome Institute: CA, United States
- National Cancer Institute: MD, United States
- Wellcome Trust Sanger Institute: Cambridgeshire, United Kingdom
- Monsanto: MO, United States
- Tri-I biotech, inc.: Taipei County, Taiwan
- Institute for Genome Sciences, University of Maryland: MD, United States
- Ontario Institute for Cancer Research: ON, Canada
- Leiden University Medical Centre: Zuid-Holland, Netherlands
- Broad Institute: MA, United States
- Cold Spring Harbor Laboratory: NY, United States
- The Genome Center at Washington University: St. Louis, MO, United States
- Center for Genomics and Personalized Medicine Department of Genetics Stanford University School of Medicine: CA, United States
- Expression Analysis: NC, United States
- University of Michigan DNA Sequencing Core/Affymetrix and Microarray Core Facility: MI, United States
・・・ Japanの名前は、まだ無いですね。
今年中には、PacBio のマシン&データに触れる機会がありそうですので、今から楽しみです。
2010年10月18日月曜日
Genome Analyzer II & HiSeq 2000
イルミナ社の次世代シーケンサーは4種類ある。
世界で一番使われている型の Genome Analyzer IIx (GAIIx)
汎用型を目指したGAIIx よりちょっと安い Genome Analyzer IIe
最も高性能ハイスループットのHiSeq2000
マイクロアレイのスキャナーと一体型の HiScanSQ
イルミナ社の思想は、「シーケンサーをどのラボでも使えるように」 なので、使いやすさを優先しているようだ。
できるだけ簡単な操作性、これは正しいと思う。 出てくるデータも塩基配列なので直観的に扱いやすい。 SOLiDのカラースペースと比べるとここは大きい。
Genome Analyzerは世界で最も使われている高速シーケンサーだ。
当然論文数も多いので、この辺はアカデミアの人間には嬉しい、というか安心できるところ。
もともとのテクノロジーはSolexaという会社が考えたもので、フローセル上に固定したフラグメントDNAを、1塩基ずつポリメラーゼ伸長していく。 このときA,T,C,Gの4種類のヌクレオチドとそれぞれ4種類の蛍光色素が1つ、取り込まれ、それ以上は取り込まれない。
リバーシブルターミネーションと言われるその方法で、1つずつポリメラーゼ反応を進めては止め、また進めては止める。 一度の反応で4種類の蛍光=塩基がCCDカメラで観測される。 (ロッシュ454の場合は1度に1種類の蛍光を観測する) つまり、50塩基の読み取りには50回の反応が必要になる。
シーケンスとポリメラーゼ反応を同時に行う。 そこで Seqencing by Synthesis と呼ばれることもある。 ポリメラーゼ反応というわりには、ライゲーション反応のSOLiDと比べると試薬コストが高いように思う。
イルミナのシーケンサーはショートリードであるので、ライバルはSOLiDだ。
リードの精度はどちらも高い。
スループットはSOLiDに軍配が上がるが、どちらも十分高い。
こうなってくるとユーザはどこを基準に選択したら良いのか?
自分で実験するなら、使いやすいかどうか、操作性、ランニングコスト、メーカーサポートの質、を基準にすると思う。 イルミナはこの点に加え、世界中にユーザーが多い、という優位性があるので選ぶ人も多いだろう。
僕の印象だが、イルミナ社はライバルメーカーと比べて若干閉鎖的。
ユーザーミーティング以外にも、まだユーザーでない一般のひとに対して、あるいはシーケンサーを持っていないのだがプロジェクトの一員であるひとに対して、もう少しオープンにしてくれればうれしい。
なので、僕は必要な情報はWikiなどで得ている。たとえばここ。
http://seqanswers.com/
結構スレッドを立てると、誰か答えてくれるので、不満はない。
ここでも、イルミナのユーザが圧倒的に多いふうに思う。
世界で一番使われている型の Genome Analyzer IIx (GAIIx)
汎用型を目指したGAIIx よりちょっと安い Genome Analyzer IIe
最も高性能ハイスループットのHiSeq2000
マイクロアレイのスキャナーと一体型の HiScanSQ
イルミナ社の思想は、「シーケンサーをどのラボでも使えるように」 なので、使いやすさを優先しているようだ。
できるだけ簡単な操作性、これは正しいと思う。 出てくるデータも塩基配列なので直観的に扱いやすい。 SOLiDのカラースペースと比べるとここは大きい。
Genome Analyzerは世界で最も使われている高速シーケンサーだ。
当然論文数も多いので、この辺はアカデミアの人間には嬉しい、というか安心できるところ。
もともとのテクノロジーはSolexaという会社が考えたもので、フローセル上に固定したフラグメントDNAを、1塩基ずつポリメラーゼ伸長していく。 このときA,T,C,Gの4種類のヌクレオチドとそれぞれ4種類の蛍光色素が1つ、取り込まれ、それ以上は取り込まれない。
リバーシブルターミネーションと言われるその方法で、1つずつポリメラーゼ反応を進めては止め、また進めては止める。 一度の反応で4種類の蛍光=塩基がCCDカメラで観測される。 (ロッシュ454の場合は1度に1種類の蛍光を観測する) つまり、50塩基の読み取りには50回の反応が必要になる。
シーケンスとポリメラーゼ反応を同時に行う。 そこで Seqencing by Synthesis と呼ばれることもある。 ポリメラーゼ反応というわりには、ライゲーション反応のSOLiDと比べると試薬コストが高いように思う。
イルミナのシーケンサーはショートリードであるので、ライバルはSOLiDだ。
リードの精度はどちらも高い。
スループットはSOLiDに軍配が上がるが、どちらも十分高い。
こうなってくるとユーザはどこを基準に選択したら良いのか?
自分で実験するなら、使いやすいかどうか、操作性、ランニングコスト、メーカーサポートの質、を基準にすると思う。 イルミナはこの点に加え、世界中にユーザーが多い、という優位性があるので選ぶ人も多いだろう。
僕の印象だが、イルミナ社はライバルメーカーと比べて若干閉鎖的。
ユーザーミーティング以外にも、まだユーザーでない一般のひとに対して、あるいはシーケンサーを持っていないのだがプロジェクトの一員であるひとに対して、もう少しオープンにしてくれればうれしい。
なので、僕は必要な情報はWikiなどで得ている。たとえばここ。
http://seqanswers.com/
結構スレッドを立てると、誰か答えてくれるので、不満はない。
ここでも、イルミナのユーザが圧倒的に多いふうに思う。
2010年10月3日日曜日
de novo transcriptome という分野
NGSの使われ方のひとつに、de novo transcriptome という分野がある。 これは何かと言うと、リファレンス配列が全く未知の生物の発現解析である。
普通、RNA-Seqは、リファレンス配列(ゲノム配列またはRefSeq配列)があって、これに対してリード配列をマッピングしていく。 そのうえで、マッピングされたリード配列の数を数えて、発現量を推定する。
余談だが「リード配列の数=発現量」というのは、正確に言うと違う。 リードの数は、転写産物の長さや、シーケンサーから出力された全リード数で補正(Normalize)する必要がある。 RPKMという補正値が、遺伝子ごとの発現量としては一般的で、SOLiDやGAIIに付属するソフトでもこの値で出力することができる。 でも、ディスカバリー目的、例えばエキソンのスプライシングや、未知エキソンの検出、などにはリード数そのものを比較することもある。 むしろ補正はしない方がいいと思う。
さて、話題に戻って de novo transcriptome の話をすると、これはさっきも言った通りリファレンスが無い。 ということは、出てくるデータは転写産物のショートフラグメントだけ! なので、まず、
1) リードをアセンブルしてContigを作る
2) できたContigを転写産物と仮定して、リードをContigにマッピングする
3) 後は普通のRNA-Seqと同じ
という順序になると思う。
データが出てきた後の話だ。
アセンブルは色々あるが、454ならNewbler、SOLiDやGAIIならVelvetのようなアセンブラーを使って行うだろう。
その時のTipは、ミトコンドリアやクロロプラスト由来のRNAが混ざっている場合、その配列にヒットするリードをあらかじめ除いておくと、ゲノム由来のRNAにコンタミするのを防ぐことができる。
数時間後、めでたくContigができた。 100-mer以上の長さが数百本ある。 これは信じていいのか。 Contigはたくさんできても、それが本当に転写産物なのかは、リファレンス配列が無い時は確かめようがない。 なので、Contigを既知のタンパク質配列に対してBLASTxし、Contigがどれだけ既知の転写産物らしいか、を確かめると良いと思う。
真核生物、哺乳類、植物、など大きなくくりでタンパク質配列を用意して、それに対してBLASTxする。 さて、ここで遺伝子に紐付いたものの中に、保存性が高くてかつ塩基配列が長いものはあるか? 植物ならBIG(binding / ubiquitin-protein ligase/ zinc ion binding)などの遺伝子配列がある程度の長さで取れているか? これは、アセンブルの精度の基準なると思う。
この De novo transcriptomeをする場合、使うべきは454のロングリードシーケンサーだろう。 実際に454を使っている文献はいくつかある。
1.Parchman TL. BMC Genomics. 2010 Mar 16;11:180. PMID: 20233449
2.Elmer KR. Mol Ecol. 2010 Mar;19 Suppl 1:197-211. PMID: 20331780
3.Kristiansson E. BMC Genomics. 2009 Jul 31;10:345. PMID: 19646242
どれもモデル生物ではない生物で、発現を見ている。
このうち面白いのが、1の文献で、これはLodgepole pine (P. contorta) のde novo transcriptomeをしている。 このケースでは、先ず464,896本のリードを、すでにゲノム配列がだいたいわかっている近縁種P.taeda の、18,921本のUnigene配列と共にアッセンブルして、めでたく6,601本のContigを得ていた。 近縁種のUnigeneと実験データのリードを混ぜてアセンブルしているのだ! これはびっくり。 これにより、P.contortaとP.taeda の間で保存されている配列を先に同定できる。 Contigに加わらなかったリードで再びde novo assembleを行い、最終的に57,086本のContigと、およそ24万本のsingletonを得ている。 24万本のSingletonって…、という突っ込みはさておき、この方法は近縁種の遺伝子がある程度分かっているときに有効な手法だろう。
http://atgc-illumina.googlecode.com/...k_090910_D.pdf
をGoogleで検索すると、トップに出てくるのが、レタスのde novo transcriptome
これはIlluminaのGAを使用している。
残念ながらSOLiDでの例はまだ出会っていない。 454と組み合わせての使用例は今後出てくるかもしれないが。
僕の経験では、当たり前かもしれないがショートリードだけでなく、ロングリードと一緒にアセンブルした方が長いContigが多くできやすい。
transcriptomeに関しては、そもそも発現していない遺伝子はリード数が少なく、アセンブルされにくいだろう。 つまりゲノムのアセンブルと違ってContigの数が多ければ良いというわけでもない。
未知の転写産物を調べるというのは、高速シーケンサーならではの使い方なので、今後増えてくると思う。 第3世代なら問題ないかもしれないが、第2世代の機械ではアセンブルという必要があるので、ここは難しくもあり、また僕みたいなデータ解析屋にとってはチャレンジングなテーマでもある。
普通、RNA-Seqは、リファレンス配列(ゲノム配列またはRefSeq配列)があって、これに対してリード配列をマッピングしていく。 そのうえで、マッピングされたリード配列の数を数えて、発現量を推定する。
余談だが「リード配列の数=発現量」というのは、正確に言うと違う。 リードの数は、転写産物の長さや、シーケンサーから出力された全リード数で補正(Normalize)する必要がある。 RPKMという補正値が、遺伝子ごとの発現量としては一般的で、SOLiDやGAIIに付属するソフトでもこの値で出力することができる。 でも、ディスカバリー目的、例えばエキソンのスプライシングや、未知エキソンの検出、などにはリード数そのものを比較することもある。 むしろ補正はしない方がいいと思う。
さて、話題に戻って de novo transcriptome の話をすると、これはさっきも言った通りリファレンスが無い。 ということは、出てくるデータは転写産物のショートフラグメントだけ! なので、まず、
1) リードをアセンブルしてContigを作る
2) できたContigを転写産物と仮定して、リードをContigにマッピングする
3) 後は普通のRNA-Seqと同じ
という順序になると思う。
データが出てきた後の話だ。
アセンブルは色々あるが、454ならNewbler、SOLiDやGAIIならVelvetのようなアセンブラーを使って行うだろう。
その時のTipは、ミトコンドリアやクロロプラスト由来のRNAが混ざっている場合、その配列にヒットするリードをあらかじめ除いておくと、ゲノム由来のRNAにコンタミするのを防ぐことができる。
数時間後、めでたくContigができた。 100-mer以上の長さが数百本ある。 これは信じていいのか。 Contigはたくさんできても、それが本当に転写産物なのかは、リファレンス配列が無い時は確かめようがない。 なので、Contigを既知のタンパク質配列に対してBLASTxし、Contigがどれだけ既知の転写産物らしいか、を確かめると良いと思う。
真核生物、哺乳類、植物、など大きなくくりでタンパク質配列を用意して、それに対してBLASTxする。 さて、ここで遺伝子に紐付いたものの中に、保存性が高くてかつ塩基配列が長いものはあるか? 植物ならBIG(binding / ubiquitin-protein ligase/ zinc ion binding)などの遺伝子配列がある程度の長さで取れているか? これは、アセンブルの精度の基準なると思う。
この De novo transcriptomeをする場合、使うべきは454のロングリードシーケンサーだろう。 実際に454を使っている文献はいくつかある。
1.Parchman TL. BMC Genomics. 2010 Mar 16;11:180. PMID: 20233449
2.Elmer KR. Mol Ecol. 2010 Mar;19 Suppl 1:197-211. PMID: 20331780
3.Kristiansson E. BMC Genomics. 2009 Jul 31;10:345. PMID: 19646242
どれもモデル生物ではない生物で、発現を見ている。
このうち面白いのが、1の文献で、これはLodgepole pine (P. contorta) のde novo transcriptomeをしている。 このケースでは、先ず464,896本のリードを、すでにゲノム配列がだいたいわかっている近縁種P.taeda の、18,921本のUnigene配列と共にアッセンブルして、めでたく6,601本のContigを得ていた。 近縁種のUnigeneと実験データのリードを混ぜてアセンブルしているのだ! これはびっくり。 これにより、P.contortaとP.taeda の間で保存されている配列を先に同定できる。 Contigに加わらなかったリードで再びde novo assembleを行い、最終的に57,086本のContigと、およそ24万本のsingletonを得ている。 24万本のSingletonって…、という突っ込みはさておき、この方法は近縁種の遺伝子がある程度分かっているときに有効な手法だろう。
http://atgc-illumina.googlecode.com/...k_090910_D.pdf
をGoogleで検索すると、トップに出てくるのが、レタスのde novo transcriptome
これはIlluminaのGAを使用している。
残念ながらSOLiDでの例はまだ出会っていない。 454と組み合わせての使用例は今後出てくるかもしれないが。
僕の経験では、当たり前かもしれないがショートリードだけでなく、ロングリードと一緒にアセンブルした方が長いContigが多くできやすい。
transcriptomeに関しては、そもそも発現していない遺伝子はリード数が少なく、アセンブルされにくいだろう。 つまりゲノムのアセンブルと違ってContigの数が多ければ良いというわけでもない。
未知の転写産物を調べるというのは、高速シーケンサーならではの使い方なので、今後増えてくると思う。 第3世代なら問題ないかもしれないが、第2世代の機械ではアセンブルという必要があるので、ここは難しくもあり、また僕みたいなデータ解析屋にとってはチャレンジングなテーマでもある。
2010年9月30日木曜日
分子医療の扉を開く Japan Sequence Forum 2010
今日9月30日は、ライフテクノロジーズジャパンとイルミナジャパンが同じ時間に別の場所でセミナーを行った。 僕は前から登録していたこともあって、ライフテックのこちらに参加した。
「分子医療の扉を開く」とは、ライフテック社の、シーケンサーを医療・診断分野に広げていく戦略があることを意味している。 パーソナルゲノムがいよいよ現実味を帯びてきた今、その方向性は正しい。
ゲノムまではいかなくとも、SNPレベルで遺伝子テストを行っている会社は多い。 世界的に有名なところではdeCODEme、Gene Planet、Pathway Genomics、23 and Me、がある。 TaqManでタイピングをしていたり、イルミナのSNPアレイを使っていたりと、方法は異なるが、いずれもユーザから送ってもらったサンプル(唾液か頬の内側粘膜)からDNAを抽出し、タグSNPをタイピングして結果をユーザにWebで知らせる。 結果には、例えばがんにかかりやすいかどうか、特定の薬剤の効果・副作用のリスク、生活習慣病へのリスクなどが%でのっている。 価格は5万円から15万円くらい。 ちなみに23 and Meは日本から注文することはできない。(裏技はある)
パーソナルゲノムはまだ、価格が高いので一般できではないが、来年中には20万円くらいにまで下がるかも知れない。 そうなるとシーケンサーの需要が一気に高まるだろう。 僕も20万なら自分のゲノムを読んでみたい。
とは言っても、日本ではまだゲノムや遺伝子に対する理解度が低いので、すぐに診断に使えるとは思えないし、法整備も全く無い状態だ。
パーソナルゲノムで読んだ情報を、うまく「わかりやすい日本語」に翻訳してくれるツールを提供したら売れるかもしれない。 アイデアはいくつかあるんだが・・・。
これは想像だが、イルミナもまた、分子医療・診断を見据えているのだろう。 研究分野だけではは市場が小さすぎる。 それにSNPジェノタイピングの本家だけに、アレイでの遺伝子テストからシーケンサーでのゲノム診断、ということは自然の流れだ。
ロッシュは454の買収当時から、この時が来るのを待っていたのではないか。 天下のロッシュだ。 言わずもがなである。
さて、今日、初めてライフテックのSOLiD PIを見た。 と言っても外観だけで中身は空。
印象は「結構でかい」。 縦横高さ、各1mの立方体といった感じ。 キャピラリーシーケンサーより一回り以上でかい! ロッシュのGS Juniorが小さい印象だったので余計大きく感じた。
「分子医療の扉を開く」とは、ライフテック社の、シーケンサーを医療・診断分野に広げていく戦略があることを意味している。 パーソナルゲノムがいよいよ現実味を帯びてきた今、その方向性は正しい。
ゲノムまではいかなくとも、SNPレベルで遺伝子テストを行っている会社は多い。 世界的に有名なところではdeCODEme、Gene Planet、Pathway Genomics、23 and Me、がある。 TaqManでタイピングをしていたり、イルミナのSNPアレイを使っていたりと、方法は異なるが、いずれもユーザから送ってもらったサンプル(唾液か頬の内側粘膜)からDNAを抽出し、タグSNPをタイピングして結果をユーザにWebで知らせる。 結果には、例えばがんにかかりやすいかどうか、特定の薬剤の効果・副作用のリスク、生活習慣病へのリスクなどが%でのっている。 価格は5万円から15万円くらい。 ちなみに23 and Meは日本から注文することはできない。(裏技はある)
パーソナルゲノムはまだ、価格が高いので一般できではないが、来年中には20万円くらいにまで下がるかも知れない。 そうなるとシーケンサーの需要が一気に高まるだろう。 僕も20万なら自分のゲノムを読んでみたい。
とは言っても、日本ではまだゲノムや遺伝子に対する理解度が低いので、すぐに診断に使えるとは思えないし、法整備も全く無い状態だ。
パーソナルゲノムで読んだ情報を、うまく「わかりやすい日本語」に翻訳してくれるツールを提供したら売れるかもしれない。 アイデアはいくつかあるんだが・・・。
これは想像だが、イルミナもまた、分子医療・診断を見据えているのだろう。 研究分野だけではは市場が小さすぎる。 それにSNPジェノタイピングの本家だけに、アレイでの遺伝子テストからシーケンサーでのゲノム診断、ということは自然の流れだ。
ロッシュは454の買収当時から、この時が来るのを待っていたのではないか。 天下のロッシュだ。 言わずもがなである。
さて、今日、初めてライフテックのSOLiD PIを見た。 と言っても外観だけで中身は空。
印象は「結構でかい」。 縦横高さ、各1mの立方体といった感じ。 キャピラリーシーケンサーより一回り以上でかい! ロッシュのGS Juniorが小さい印象だったので余計大きく感じた。
2010年9月20日月曜日
高速シーケンサーの使われ方 3
他の人がどのような使い方をしているのか、を知るにはメーカーの主催するセミナーに行くのが良い。 もちろんメーカーのマシンを使ってある程度の結果を出しているので、講演者はそのメーカーをよいしょする。 ちょっとその辺がウットオシイから、嫌う人も多い。
ライフテック、イルミナ、ロッシュ、のシーケンサーメーカーは年に数回行っている。 今年はシーケンサーが導入されて間もないせいか、講演者もだいたい決まっていて、同じテーマを数回聞いたこともあった。 例えば東大柏キャンパスの服部先生のチーム。 「腸内細菌メタゲノム」のテーマで、これは昨年も聞いた。 メタゲノムは大規模な研究で、予算取りは大変だと思う。 これについては別に書く。
今月は、ライフテック主催のシーケンサーフォーラムが30日に東京で行われる。 これは結構期待している。 僕もSOLiDを使っているので、こういうときにメーカーの人と話せるのはすごく良い。
それぞれのシーケンサーが、どのような使い方をされているのかを知るには、学会ももちろん良いだろう。 学会ではメーカーに気を使うことなく、中立な立場でメーカーの批判もできる。
批判は善し悪しで、僕は無視するようにしている。
メーカーの人に後で聞けば、その批判は間違っていることがあるからだ。
具体的に書くとその人が特定されてしまうのでやめるが、その人はデータ量の多さとクオリティの低いデータの数を批判していた。
日本では、農業分野の応用が少ない。 農業国、オーストラリアやカナダ、アメリカではとてもさかんである。 日本は農業に予算が付かないのか。
糖尿病などの生活習慣病、がん、遺伝病などには予算が付きやすいのに。
ではこのような分野に、高速シーケンサーはどのように使われているのだろうか。
ライフテック、イルミナ、ロッシュ、のシーケンサーメーカーは年に数回行っている。 今年はシーケンサーが導入されて間もないせいか、講演者もだいたい決まっていて、同じテーマを数回聞いたこともあった。 例えば東大柏キャンパスの服部先生のチーム。 「腸内細菌メタゲノム」のテーマで、これは昨年も聞いた。 メタゲノムは大規模な研究で、予算取りは大変だと思う。 これについては別に書く。
今月は、ライフテック主催のシーケンサーフォーラムが30日に東京で行われる。 これは結構期待している。 僕もSOLiDを使っているので、こういうときにメーカーの人と話せるのはすごく良い。
それぞれのシーケンサーが、どのような使い方をされているのかを知るには、学会ももちろん良いだろう。 学会ではメーカーに気を使うことなく、中立な立場でメーカーの批判もできる。
批判は善し悪しで、僕は無視するようにしている。
メーカーの人に後で聞けば、その批判は間違っていることがあるからだ。
具体的に書くとその人が特定されてしまうのでやめるが、その人はデータ量の多さとクオリティの低いデータの数を批判していた。
日本では、農業分野の応用が少ない。 農業国、オーストラリアやカナダ、アメリカではとてもさかんである。 日本は農業に予算が付かないのか。
糖尿病などの生活習慣病、がん、遺伝病などには予算が付きやすいのに。
ではこのような分野に、高速シーケンサーはどのように使われているのだろうか。
2010年9月19日日曜日
高速シーケンサーの使われ方 2
現在の高速シーケンサーは、単にシーケンス(配列)を読むだけの機械にとどまらない。
ひとつの同じ機械を使って、発現の情報、タンパク質―DNAの結合情報、ゲノム配列の詳細情報を観測することができる。
発現の情報とは、たとえば
1)これまでマイクロアレイで行われてきたような発現量の観測
2)ジャンクションアレイやエキソンアレイで行われているようなエキソンスプライシングの観測
3)CAGEのような転写開始点の量的観測
4)異なる染色体をまたぐような転写産物・Fusion Transcriptsの観測
5)遺伝学的なAllelic Imbalanceと、発現量の関係を観測
などがある。
タンパク-DNA結合情報は、
1)ChIP-on-Chipなどで行われてきたような転写因子の結合領域の観測
2)ゲノムのメチレーションやアセチレーション箇所の観測
(実は、僕はこの辺はあまり詳しくない。)
ゲノムの詳細解析については、リシーケンスがまず挙げられる。これは既知のゲノムに対してもう一度自分のサンプルを読んでみて、リファレンスゲノムというものとどれくらい差異があるかを見ているのだ。
1)人種間や個人間のゲノム上の、ごくわずかな差を検出するSNPやInDel解析
2)遺伝子のコピー数を検出するCNV解析
3)特定の配列の正確な数を検出するDNA頻度解析
こういった解析方法を組み合わせて、実験によっては一度にいくつものことが同時に検出できる所に、高速シーケンサーの魅力がある。
しかし当然、新しい技術の導入には、困難が立ちはだかる。
学会などで、教授や所長といった肩書の偉ーい先生方の講演を聞くと、必ずと言っていいほど、高速シーケンサーのデータ解析の難しさが話題に出る。
でも、実際に手を動かしているのは、ポスドクや助手クラスの人間なんだろうから、どれほど「難しさ」を実感しているかは怪しい。
まさか、Linuxコマンドを使うことを「難しい」と言っているのではあるまい。そんなんだったら日本のアカデミアのレベルを疑われるので、絶対に国際学会では言わないで!
こういう偉ーい先生方は、過去に偉業を成した大先生で、予算がガッポリ付いているのでシーケンスし放題だ。
ここから先は想像だが、こういう先生方は、聴衆に「俺らのやってる研究は、生半可な技術ではできないぞ! 高額な機器があっても、ノウハウが無いと解析できないぞ!」と訴えて、聞いている人、これからシーケンスをやろうとしている人に、「俺らに聞きに来れば教えてやるけどな」という風に持っていきたいのかも知れないーー というのは冗談、冗談!
データ量が半端でないのは確かだが、イコール解析が大変・難しいということにはならない。
古い考え?の大先生には、出したデータは必ず何らかの意味があり、意味が無いデータを出すことを許さない方がいらっしゃるかもしれない。 が、それは高速シーケンサーにおいては間違っている。 マイクロアレイでもそうだろうが、ノイズは思い切って捨てる。
高速シーケンサーでも、使えるデータが10分の1にも満たないことは良くあるゾ。
解析手段も、こうした大先生に良くあるのが、フリーのソフトにこだわることだ。
フリーのソフトは、ほとんどが海外のアカデミア機関によって開発されており、Linuxベースであることが多い。 権威に弱いのか、MITとかSanger研究所とか、そういう所の開発したフリーソフトを使いたがる。
なぜか、市販のソフトを買うことはしない。 なぜだ? サポートも付いてるし、WindowsのGUIも良くできているのに。 価格だって高くても100万円くらいだ。 シーケンサーの数千万―数億に比べれば大したことない。
まあ、市販のソフトは解析にいろいろ限界があって、やりたいこと全部はできないのかも知れないけど。
本題からずれてきたので、この辺で止める。
実際、バイオインフォマティシャンが2、3人いれば大体の解析はできる。
これから、そういうケースを紹介していこうと思う。
ひとつの同じ機械を使って、発現の情報、タンパク質―DNAの結合情報、ゲノム配列の詳細情報を観測することができる。
発現の情報とは、たとえば
1)これまでマイクロアレイで行われてきたような発現量の観測
2)ジャンクションアレイやエキソンアレイで行われているようなエキソンスプライシングの観測
3)CAGEのような転写開始点の量的観測
4)異なる染色体をまたぐような転写産物・Fusion Transcriptsの観測
5)遺伝学的なAllelic Imbalanceと、発現量の関係を観測
などがある。
タンパク-DNA結合情報は、
1)ChIP-on-Chipなどで行われてきたような転写因子の結合領域の観測
2)ゲノムのメチレーションやアセチレーション箇所の観測
(実は、僕はこの辺はあまり詳しくない。)
ゲノムの詳細解析については、リシーケンスがまず挙げられる。これは既知のゲノムに対してもう一度自分のサンプルを読んでみて、リファレンスゲノムというものとどれくらい差異があるかを見ているのだ。
1)人種間や個人間のゲノム上の、ごくわずかな差を検出するSNPやInDel解析
2)遺伝子のコピー数を検出するCNV解析
3)特定の配列の正確な数を検出するDNA頻度解析
こういった解析方法を組み合わせて、実験によっては一度にいくつものことが同時に検出できる所に、高速シーケンサーの魅力がある。
しかし当然、新しい技術の導入には、困難が立ちはだかる。
学会などで、教授や所長といった肩書の偉ーい先生方の講演を聞くと、必ずと言っていいほど、高速シーケンサーのデータ解析の難しさが話題に出る。
でも、実際に手を動かしているのは、ポスドクや助手クラスの人間なんだろうから、どれほど「難しさ」を実感しているかは怪しい。
まさか、Linuxコマンドを使うことを「難しい」と言っているのではあるまい。そんなんだったら日本のアカデミアのレベルを疑われるので、絶対に国際学会では言わないで!
こういう偉ーい先生方は、過去に偉業を成した大先生で、予算がガッポリ付いているのでシーケンスし放題だ。
ここから先は想像だが、こういう先生方は、聴衆に「俺らのやってる研究は、生半可な技術ではできないぞ! 高額な機器があっても、ノウハウが無いと解析できないぞ!」と訴えて、聞いている人、これからシーケンスをやろうとしている人に、「俺らに聞きに来れば教えてやるけどな」という風に持っていきたいのかも知れないーー というのは冗談、冗談!
データ量が半端でないのは確かだが、イコール解析が大変・難しいということにはならない。
古い考え?の大先生には、出したデータは必ず何らかの意味があり、意味が無いデータを出すことを許さない方がいらっしゃるかもしれない。 が、それは高速シーケンサーにおいては間違っている。 マイクロアレイでもそうだろうが、ノイズは思い切って捨てる。
高速シーケンサーでも、使えるデータが10分の1にも満たないことは良くあるゾ。
解析手段も、こうした大先生に良くあるのが、フリーのソフトにこだわることだ。
フリーのソフトは、ほとんどが海外のアカデミア機関によって開発されており、Linuxベースであることが多い。 権威に弱いのか、MITとかSanger研究所とか、そういう所の開発したフリーソフトを使いたがる。
なぜか、市販のソフトを買うことはしない。 なぜだ? サポートも付いてるし、WindowsのGUIも良くできているのに。 価格だって高くても100万円くらいだ。 シーケンサーの数千万―数億に比べれば大したことない。
まあ、市販のソフトは解析にいろいろ限界があって、やりたいこと全部はできないのかも知れないけど。
本題からずれてきたので、この辺で止める。
実際、バイオインフォマティシャンが2、3人いれば大体の解析はできる。
これから、そういうケースを紹介していこうと思う。
2010年9月18日土曜日
高速シーケンサーの使われ方 1
生命科学関係の学会に行くと、必ずあるのが次世代、あるいは高速シーケンサーの現状と今後の展望、といったテーマのシンポジウムやセミナー。
大きなものでは、バイオエキスポ、12月の分子生物学会。 あとは癌学会や人類遺伝学会など。
また、口頭発表でも高速シーケンサーを使った研究結果がようやくちらほら出てき始めた。
現在、日本には何台の高速シーケンサーが導入されているのだろうか。
大学では旧帝大を始めとする国公立大学はもちろん、私大でも医学部があるところには、昨年度かなりの数が導入されている。イルミナのGenome Analyzer (以下GA)、ライフテックのSOLiDがそれぞれ数十台入ったと言われている。
研究所では、理化学研究所、沖縄科学技術振興センター、産業技術総合研究所、遺伝学研究所に数台、しかし最新式のマシンが導入されている。恐らく、理研は日本で最もたくさんのシーケンサーを揃えているだろう。とは言っても、欧米やアジアのようにまとまったゲノムセンターが無いので、多く見積もっても全体で20台くらいではないか。
北京ゲノム研究所ひとつで128台の高速シーケンサーがあるのとは雲泥の差だ。
では、企業ではどうか?
実験受託をサービスとしているタカラバイオ社にはシーケンスマシンがあって、実際に実験をしている。サービス会社の中には実験をよそに委託している所もあるので、他社はわからない。
製薬企業なども、持っているところはある。
SOLiDとGAは、短いリードをたくさん出力する。
一方ロッシュの454は、比較的長いリードを出力する。
細かい数字は別に挙げるが、短いとは25、50、80塩基のことで、長いとは約400塩基のこと。
SOLiD, GAは数千万から数億本のリードを出力し、454は数十万から数百万本のリードを出す。
454は最初の「次世代」高速シーケンサーと言われ、リード長が長いのでデノボシーケンス(未知の配列決定)に用いられてきた。良く使われたのは、微生物ゲノムのデノボシーケンス。今でも多くの大学で、特に農学部などで土壌菌や麹菌、産業用植物などのゲノム配列決定に使われている。
またゲノム配列がほぼ決定している種では、SOLiDやGAなどのショートリード・大量データのシーケンサーを使って、遺伝子の発現・トランスクリプトーム解析、SNP探索などをしている大学もある。
タンパク質-DNAインターアクション解析やメチレーション解析は、小規模ながら、医学部などでやっていると聞く。
大学の場合、シーケンサーは実験機器であるので、予算が付く。 メーカーもここぞとばかりに営業合戦をかける。
そして大量データを解析・保存するために必要な高性能コンピュータにも予算が付く。 システム設計会社もこれに食いついて予算争奪戦が始まる。
ここから先は私の想像だが、シーケンサーを買ってしまった大学の、かなりの所が、その運用に困っているのではないか。
一回の実験に数十万~数百万円かかる試薬の高さはさることながら、大量データを扱うノウハウも人材もない。 特に、中小の規模の大学ではそうである。
大きなものでは、バイオエキスポ、12月の分子生物学会。 あとは癌学会や人類遺伝学会など。
また、口頭発表でも高速シーケンサーを使った研究結果がようやくちらほら出てき始めた。
現在、日本には何台の高速シーケンサーが導入されているのだろうか。
大学では旧帝大を始めとする国公立大学はもちろん、私大でも医学部があるところには、昨年度かなりの数が導入されている。イルミナのGenome Analyzer (以下GA)、ライフテックのSOLiDがそれぞれ数十台入ったと言われている。
研究所では、理化学研究所、沖縄科学技術振興センター、産業技術総合研究所、遺伝学研究所に数台、しかし最新式のマシンが導入されている。恐らく、理研は日本で最もたくさんのシーケンサーを揃えているだろう。とは言っても、欧米やアジアのようにまとまったゲノムセンターが無いので、多く見積もっても全体で20台くらいではないか。
北京ゲノム研究所ひとつで128台の高速シーケンサーがあるのとは雲泥の差だ。
では、企業ではどうか?
実験受託をサービスとしているタカラバイオ社にはシーケンスマシンがあって、実際に実験をしている。サービス会社の中には実験をよそに委託している所もあるので、他社はわからない。
製薬企業なども、持っているところはある。
SOLiDとGAは、短いリードをたくさん出力する。
一方ロッシュの454は、比較的長いリードを出力する。
細かい数字は別に挙げるが、短いとは25、50、80塩基のことで、長いとは約400塩基のこと。
SOLiD, GAは数千万から数億本のリードを出力し、454は数十万から数百万本のリードを出す。
454は最初の「次世代」高速シーケンサーと言われ、リード長が長いのでデノボシーケンス(未知の配列決定)に用いられてきた。良く使われたのは、微生物ゲノムのデノボシーケンス。今でも多くの大学で、特に農学部などで土壌菌や麹菌、産業用植物などのゲノム配列決定に使われている。
またゲノム配列がほぼ決定している種では、SOLiDやGAなどのショートリード・大量データのシーケンサーを使って、遺伝子の発現・トランスクリプトーム解析、SNP探索などをしている大学もある。
タンパク質-DNAインターアクション解析やメチレーション解析は、小規模ながら、医学部などでやっていると聞く。
大学の場合、シーケンサーは実験機器であるので、予算が付く。 メーカーもここぞとばかりに営業合戦をかける。
そして大量データを解析・保存するために必要な高性能コンピュータにも予算が付く。 システム設計会社もこれに食いついて予算争奪戦が始まる。
ここから先は私の想像だが、シーケンサーを買ってしまった大学の、かなりの所が、その運用に困っているのではないか。
一回の実験に数十万~数百万円かかる試薬の高さはさることながら、大量データを扱うノウハウも人材もない。 特に、中小の規模の大学ではそうである。
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