PacBioのシーケンサーから出てくるデータはどんなものなんだろう?
その前に、「4分でわかるPacBio-SMRTテクノロジー」をYouTubeで見つけたので、SMRTって何だ?ってひとはまずはここから。
テクノロジーについてもっと詳しく知りたい方は、PacBioのホームページか、この論文がお勧めです。
Schadt et. al., "A window into third-generation sequencing". Hum. Mol. Genet. (2010) 19 (R2): R227-R240
SMRTの特徴は、DNAを1分子単位で、PCRによる増幅無しで、結構長く読めるということです。
Single Molecule Real Time の略です。
ガラススライド上に無数の小さなポケット(ZMWs (zero-mode waveguides) )があり、その穴の底には、DNAポリメラーゼが固定されています。 この穴は非常に小さく、波長600nmまでの可視光線は通り抜けできない構造になっています。
シーケンスは、プライマーがアニールされたDNA鋳型がポリメラーゼに取り込まれ、反応準備が完了します。
4種類の異なる蛍光の付いた塩基が、ZMWsの外から入り込み、DNA鋳型に取り込まれると蛍光が切り離されてZMWsの穴の底で光ります。その光は底から30ナノメートルまでしか届きません。
スキャナーはその光を検出します。 底にはポリメラーゼが固定されているので、その近くで観測される光は、取り込まれた塩基による光しかない、というわけです。
でもランダムにZMWsの外からも蛍光付きの塩基が入り込むので、偶然ポリメラーゼ近辺に来て、蛍光が検出されてしまうことはないのでしょうか。
IlluminaやSOLiDのような、蛍光検出一回につき余分な蛍光を洗い流す、Wash-and-Detectはしていません。
あくまでもReal-Timeにポリメラーゼが自然に塩基がとりこまれるままで読んでいるのです。
トリックは、ポリメラーゼに塩基がとりこまれる速度はミリ秒単位、それ以外のZMWs内の塩基の出入りはマイクロ秒単位、という時間の差にあります。
ミリ秒単位で光らないと、DNA鎖の塩基として認識しないのです。
先日、Expression Analysis(http://www.expressionanalysis.com/)というアメリカの会社がPacBioのデータ解析Webセミナーをやっていたので、深夜2時だったけど参加してみました。
PacBioのデータって、どんなんだろう? すごく興味があったせいか、3時までずっと起きていました。 次の日会社・・・
さて、SMRTテクノロジーで検出される塩基は、ポリメラーゼがReal Timeに合成する速度と関係が深くなります。
ということは、塩基の検出される時間幅は、一定では無いということです。
Webセミナーの中でもそれを言っていました。
同じAGCCATと読んでいても、ポリメラーゼは機械ではありませんので、1塩基読むのに時間のばらつきが生じます。 これが画像からのシグナル変換、いわゆる一時解析を複雑にしている原因なのです。
とは言っても、PacBioの機械・ソフトは、これを何とか解決しているのでしょう。 でなければ商品化していませんよね。
次は、PacBioのデータを解釈するにあたって絶対必要な、リード、サブリード、ダンベル型のSMRTBellテンプレート、について説明します。
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