2010年9月25日土曜日

シーケンサーの種類 1分子シーケンサー

今(2010年9月)の高速シーケンサーは第2世代と呼ぶ人もいる。「次世代」という言い方は古くなってきた。
454もSOLiDもGenome Analyzerも、第2世代のシーケンサーだ。
エマルジョンPCRとか、ブリッジPCRとか、基本的に増幅した配列の「束」を読んでいる。 ここにPCRバイアスという問題がある。 増幅しやすい配列、しにくい配列、PCRのミス、これらのアーティファクトを取り除くことができない。
理研のオミクス研ではCAGEという方法で転写開始点からの配列を定量的に測るため、Helicosの1分子シーケンサーを導入している。日本で唯一か? 
ちなみにこのHelicosという会社は、昨年から経営の建て直しに必死だ。 今年もかなり大規模にリストラをしているそうな。人材はどこに流れたか? 

1分子シーケンサーとは、文字通り1分子を読むので転写産物の正確な量がわかる。 そして長く読める。らしい。 ところが1分子を読んでる途中で失敗するとこの分子は絶対読めない。ここが欠点だ。 
PCRで増幅していれば1分子の読みに失敗しても、増幅した残りが読めれば問題ない。 
でも、欠点があったとしても、「増幅しない」からこそ、生命現象の真の(真に近い)姿を観察できるのが大きな強みだ。

2年前からPacific BiosciencesのTrue Single Molecule Sequencingが話題になっていたが、まだ完全な製品化はされていない。今月の15日までに7台がに「限定的」リリースされたらしい。 ちなみにPacBioはIPOによって2億ドル取得を目指しているらしい。どうだろうか。ここ

1分子シーケンサーは第3世代とも呼ばれる。 
蛍光検出以外の方法で配列を読む技術を第4世代と呼ぶ、らしい。
ライフテックは先月、第4世代の技術を持つIon Torrentを7億2500万ドル(うちキャッシュで3億7500万ドル)という巨額で買収した。 この金額は高すぎるという批判があるようだが、ライフテックにとってこの技術は、パーソナルゲノムマーケットで勝ち残るために喉から手が出るほど欲しかったのだろう。 CEOは強気だ。
ところでIon Torrentのシーケンス技術は、DNAポリメラーゼによってヌクレオチドが取り込まれる際、放出される水素イオンを検出することで塩基を読み取る。 レーザーも、CCDカメラも、ラべリングも不要だ。 ラン時間もわずか4時間に短縮されるらしい。

イルミナも負けていない。 確かなことは不明だが、別の第4世代シーケンサー企業、Oxford Nanopore Technologies に投資しているらしい。

これら1分子シーケンサーは今後2,3年で世に出てくるだろう。 そのころはどうなっているか。 想像するだけでわくわくする。 機器の進化に研究者の頭がついていかないだろう。 きっと。

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