東日本大震災で被災された方には、心からお見舞い申し上げます。
私はその時、東京オフィスで仕事中でした。 職場のビルはかなり揺れ、ロッカーは倒れ書類が散乱しました。
その後、都内の電車が全部ストップしたため、19kmを4時間かけて歩いて帰宅しました。 寒かった。
東京は、震度5でしたが、インフラがやられると大変だとつくづく実感しました。
東京は、震度5でしたが、インフラがやられると大変だとつくづく実感しました。
その日の午前中は、ライフテクノロジーズ社の、半導体シーケンサIon Torrent PGMのショートセミナーに参加していましたので、今日はそれについてご紹介します。
PGM(Personal Genome Machine)は、DNA合成時に放出される水素イオン(プロトン)をモニタリングして、配列を読みます。
詳しくはこちらのサイトを見るのが良いでしょう。 カタログもダウンロードできます。
簡単にまとめると、200bpに断片化されたDNAは、SOLiDと同じように直径0.8ミクロンのビーズに吸着され、エマルジョンPCRで増幅されます。
半導体上のウェルの表面には小さな穴が無数にあり、その中にビーズが入ります。
プライマーとDNAポリメラーゼによって、その穴の中でDNA合成反応が進むのです。
その時に一度に一種類のdNTPが流され、一塩基合成、プロトン検出の後、Washされます。次に別の種類のdNTPが流され、一塩基合成、プロトン検出の後、Washされます。
同時に反応に使われるのは一種類の塩基のみ、というのが重要です。
私も最初、プロトンの検出では塩基の種類がわからないじゃないか、と思ってました。
でも、一度にAだけを流すと、鋳型のDNAでAがくるべき時は反応が進み、プロトンが放出されます。つまり、今プロトンが検出されたビーズのDNAの塩基は、Aであるとわかります。 T、G、CがくるべきDNAテンプレートではDNAは合成されないのでプロトン放出は起こりません。
そして、きれいにWashされます。
次に、一度にTだけを流すと、同じくプロトンが放出されたビーズのDNAの塩基は、Tだということがわかります。T以外ではプロトン放出は起こりません。
Tが2つとりこまれたときは、電荷が2倍となるため、Tが2つあるとわかります。
言葉で書くと回りくどいですが、先のサイトを見れば一目了然でしょう。
Tが2つとりこまれたときは、電荷が2倍となるため、Tが2つあるとわかります。
言葉で書くと回りくどいですが、先のサイトを見れば一目了然でしょう。
シーケンスはこれを数百回繰り返し、塩基を読みます。
ちょっと、Rocheのパイロシーケンスと似ています。 (開発者は454の開発者でもあるそうです)
でも、違う点は、パイロシーケンスは、プロトンではなくPPの放出とその蛍光を読んで塩基を特定するところです。
さて、DNAを最初にフラグメント化するときの、長さは現状200塩基で固定です。 これ以上の配列は今は読めません。 将来的には、ソフトウェアの向上などにより400まで読めるようになるそうです。
装置は61 cm x 51 cm x 53 cm、のベンチトップ型で、とても小さい印象です。 プリンターほど?
装置価格 998万円 (←1000万円を切る)
1ランあたりのコスト 約6万円 (今のバージョン314のチップ価格)
チップを交換することでバージョンアップ!
現バージョンのチップの名前は314チップと言います。
平均リード長は100 bp、出力は10万リード、反応は2時間くらいかかります。
次期バージョン316チップ:平均リード長100 bp、100万リード、反応2時間半くらい
来年バージョン318チップ:平均リード長400bp、500万リード
これらのチップを交換することで、装置の買い替えはすること無しに、バージョンアップが可能です。
ちなみにこれらチップは使い捨てです。
出力データは塩基のテキストデータ
Torrent Suitというベースコールマシンによって、最初1ランあたり53GBのDATデータは、180MB程度のsff、または60MB程度のfastqフォーマットで出力されます。
このマシンは、1台で複数のPGMのデータを処理できるそうです。
塩基配列で出てきます。 カラースペースではありません。
今後の予定
現在は微生物、ウイルスのデノボまたはターゲットリシーケンスや、アンプリコンシーケンスに用いられているそうです。
また、現在はシングルリードのみに対応ですが、今年中にはペアエンドに対応予定です。
そのうちバーコードサンプルにも対応するそうです。
ケーススタディの紹介では、ピロリ菌のゲノムシーケンスにて、GC%が高いところもちゃんと読めるらしいことがわかりました。
また、ホモポリマーが長くても、その数まで正確に読めるらしいです。
スタート時に必要なゲノム量は5マイクログラム、と結構多い?ですかね。
将来的には、1Gbのゲノムも読めるようになるので、他のシーケンサーとの差がますます小さくなりますね。
注目です。
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